2026/03/06 10:15
ブルゴーニュの白ワインに関心を持つと、生産者ごとの哲学や村の違いが気になってくる方もいるでしょう。
中でもピュリニー・モンラッシェは、シャルドネの名産地として長年知られてきた存在です。
そのピュリニー村に拠点を置くのが、2015年に初リリースを迎えた小規模ドメーヌ、ドメーヌ・トマ・コラルドです。
本記事では、ドメーヌの成り立ちから栽培・醸造の特徴、そして味わいの傾向までを整理します。
ブルゴーニュ白ワインをより深く理解したい方に向けて解説します。
ドメーヌ・トマ・コラルドの概要|ピュリニー村の新鋭ミクロドメーヌ
ブルゴーニュ白ワインの名産地として知られるピュリニー・モンラッシェ村。
その村に本拠を置くのが、ドメーヌ・トマ・コラルドです。
ドメーヌとしての初リリースは2015年。
比較的新しい存在ながら、ピュリニー・モンラッシェの個性を意識したワイン造りを行っています。
当主はジャクリーヌ・コラルド氏。
息子のマチュー氏とともに、家族でワイン造りを行っています。
耕作面積はわずか2.5haで、ブルゴーニュの中でも小規模な“ミクロドメーヌ(ごく小さな生産規模の造り手)”に位置付けられます。
畑はもともと家族が代々受け継いできたもので、父ピエール・トマ氏が1992年まで耕作していた区画を、2010年に継承。
その後、自らの名でワインをリリースするまでに時間をかけ、畑の状態を見極めながら準備を進めました。
2015年には「ブルゴーニュ・ブラン レ・プティ・ポワリエ」と「ピュリニー・モンラッシェ レ・ザンセニエール」を発表。
翌年以降、区画ごとの個性を生かしたキュヴェを拡充し、現在は12区画から12アイテムを手掛けています。
規模を追うのではなく、区画ごとの表情を丹念に表現するという姿勢が特徴です。

ビオディナミ農法への取り組み|1本1本を見守る栽培哲学
ドメーヌ・トマ・コラルドでは、ビオディナミ農法を実践しています。
単に化学肥料や除草剤を使わないというだけでなく、畑の状態や季節の移ろいを細かく観察しながら、ぶどう樹1本1本に向き合う姿勢を重視しています。
収穫が終わると、畑はしばらく休ませます。
秋の間に堆肥を準備し、春を迎えるまではトラクターによる農作業を行いません。
3月になってから畝の間の雑草を鋤き返し、成長サイクルの始まりを整えます。
一部の1級畑では、土を踏み固めないよう馬による耕耘を採用。
機械に頼りすぎず、土壌への負荷を抑える工夫がなされています。
4月から8月にかけては、ぶどう樹の根元周辺の雑草をツルハシで手作業により処理します。
副芽の管理や剪定も区画ごとの特性を見極めながら行われます。
こうした作業は時間と労力を要しますが、ぶどうの健全な成熟を支える基盤となります。
畑のコンディションを整えることが、ワインの質感や輪郭に影響すると考えられています。
区画ごとに醸す繊細なワイン造り
ドメーヌ・トマ・コラルドの醸造で大切にしているのは「畑ごとの個性をそのまま表現すること」です。
そのため、収穫から熟成までの工程をできるだけ丁寧に進め、ぶどうの持ち味を損なわないよう配慮しています。
ぶどうはすべて手摘みで収穫し、小さなカゴで運ばれます。
これは果実がつぶれにくく、繊細な香りを守りやすい方法です。
搾汁も時間をかけてゆっくり行われます。
強い圧力をかけすぎず、やわらかな果汁のみを引き出します。
発酵には、自然由来の酵母を用います。
人工的に強い個性を加えるのではなく、ぶどうそのものの性質に委ねる考え方です。
発酵中は温度管理だけでなく、香りや樽の状態を細かく確認しながら見守ります。
味わいの特徴|ピュリニー・モンラッシェという村の個性
ピュリニー・モンラッシェは、ブルゴーニュの中でも白ワイン、とりわけシャルドネで高く評価されてきた村です。
土壌は石灰質を主体とし、水はけがよく、ぶどうはゆっくりと成熟します。
その環境から生まれるワインは、引き締まった酸と透明感のある果実味を備える傾向があります。
一般的にピュリニーのワインは、派手な厚みよりも、直線的で均整の取れた印象が特徴とされます。
柑橘類や青りんご、白い花を思わせる香りが感じられることが多く、口に含むと芯の通った酸が全体を支えます。
後味にはミネラル感が残り、余韻は比較的すっきりとしています。
ドメーヌ・トマ・コラルドのワインも、こうした村の個性を踏まえたスタイルです。
果実味は過度に誇張されず、酸とのバランスを重視した構成が見られます。
区画ごとの違いはありながらも、共通して感じられるのは、澄んだ輪郭と整った印象です。
若いうちは清涼感が際立ち、時間の経過とともにナッツや蜂蜜のニュアンスが加わることもあります。
いずれも、ピュリニーという産地の特性を背景にした味わいといえるでしょう。
ドメーヌ・トマ・コラルドはどのような人に向いている?特徴から見る選び方
ドメーヌ・トマ・コラルドは、規模の大きさよりも畑ごとの個性を重視する生産者です。
そのため、ピュリニー・モンラッシェの白ワインを、区画ごとの違いまで意識して味わいたい方にとって、参考になる生産者といえます。
ブルゴーニュの白ワインを体系的に理解したい方にとっても参考になるでしょう。
村名ワインと区画ごとのワインを飲み比べることで、土壌や立地の違いがどのように表れるのかを体感しやすいためです。
また、ビオディナミ農法や小規模ドメーヌに関心がある方にも検討材料となります。
耕作面積は約2.5ヘクタールと限られており、家族経営ならではの目の届く栽培が行われています。
大量生産とは異なる視点でワインを選びたい方にとっても、ひとつの選択肢となるでしょう。
また、樽香が強いタイプよりも、酸やミネラル感を軸としたスタイルを好む方にも合いやすい傾向があります。
料理と合わせる場合も、繊細な魚介料理や塩味を生かした一皿と相性を考えやすい構成です。
ブルゴーニュの中でも、ピュリニーの現在の造り手を知るきっかけとして、参考にしやすい生産者といえます。
まとめ:ドメーヌ・トマ・コラルドが映し出すピュリニーの現在地
ドメーヌ・トマ・コラルドは、2015年に初リリースを迎えた小規模ドメーヌです。
家族が受け継いできた畑を基盤に、区画ごとの個性を尊重したワイン造りを行っています。
栽培ではビオディナミ農法を取り入れ、手作業を中心に畑を管理しています。
醸造においても、ぶどうの状態を見極めながら丁寧に工程を進める姿勢が一貫しています。
仕上がるワインは、ピュリニー・モンラッシェらしい引き締まった酸と透明感を備えたスタイルです。
ブルゴーニュ白ワインの理解を深めたい方や、小規模生産者の取り組みに関心がある方にとって、選択肢のひとつとなり得る存在です。
ピュリニーの現在を知るひとつの視点として、ドメーヌ・トマ・コラルドのワインを味わってみてはいかがでしょうか。

