2026/04/09 13:52
近年、ナチュラルワインへの関心の高まりとともに、「ジョージアワイン」や「オレンジワイン」という言葉を見かける機会が増えています。
中でも、伝統的な製法で造られるクヴェヴリワインは、ワインの原点ともいわれる存在として語られることがあります。
その背景にあるのが、約8000年前から続くとされるジョージアのワイン文化です。
素焼きの壺「クヴェヴリ」を地中に埋めて発酵・熟成させる製法は、現在も受け継がれており、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。
こうした長い歴史を持つ醸造法は、自然に寄り添ったワイン造りとして、ナチュラルワインの文脈でも取り上げられることがあります。
今回ご紹介する「Stori(ストリ)」は、そのようなジョージアの伝統を大切にしながら、現代のワインシーンにもなじむスタイルを追求している生産者のひとつです。
ジョージアワインの中でも、クヴェヴリ製法に特化した生産者として紹介されることもあります。
クヴェヴリ製法を軸に据えたワイン造りを行いながらも、クリアで親しみやすい味わいが特徴とされています。
クヴェヴリ製法を軸に据えたワイン造りを行いながらも、クリアで親しみやすい味わいが特徴とされています。
ジョージアワインに初めて触れる方にとっても、すでにナチュラルワインを楽しんでいる方にとっても、Storiのワインはひとつの入口となり得る存在です。
本記事では、Storiの背景や特徴を通して、クヴェヴリワインの魅力を分かりやすく解説していきます。
ジョージアワインとクヴェヴリ製法の基礎知識|オレンジワインとの関係
ジョージアは、黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス地方に位置する国で、「ワイン発祥の地」として広く知られています。
考古学的な発見からも、約8000年前にはすでにぶどうの栽培とワイン造りが行われていたと考えられています。
この地で発展してきたのが、クヴェヴリと呼ばれる伝統的な醸造方法です。
クヴェヴリとは、内側を蜜蝋でコーティングした素焼きの壺のことで、これを地中に埋めて使用します。
温度が安定しやすい環境の中で発酵と熟成を行うため、ぶどう本来の個性が引き出されやすいとされています。
また、果皮や種とともに発酵させる「スキンコンタクト」を行うことで、白ぶどうからも色調のあるワインが生まれます。
これがいわゆる「オレンジワイン」と呼ばれるスタイルで、穏やかな渋みと複雑な風味が特徴です。
こうしたクヴェヴリ製法は、添加物や過度な人為的介入を控えるナチュラルワインの考え方とも親和性があるといわれています。
ただし、すべてが同じスタイルというわけではなく、生産者ごとにアプローチは異なります。
そのスタイルの違いを知ることも、ジョージアワインを楽しむ魅力のひとつといえるでしょう。

Stori(ストリ)の概要と設立背景
Stori(ストリ)は、ジョージア東部の主要ワイン産地であるカヘティ地方、ツィナンダリに設立されたワイナリーです。
設立は2014年と比較的新しく、伝統的なクヴェヴリワインの世界においては新世代の生産者に位置づけられます。
中心となるのは、ぶどう栽培家であるダヴィティ・アズニアシュヴィリ氏です。
設立以前には、現地のワイン関連企業である「DELGI」にて約7年間にわたりクヴェヴリワインの醸造に携わり、少量生産の環境で実践的な経験を積んできました。
そうした経験をもとに、複数の仲間とともに立ち上げたのがStoriです。
ワイナリーの特徴のひとつが、自社畑のぶどうのみを使用している点にあります。
栽培から醸造までを一貫して行うことで、原料の状態を細かく把握しながらワイン造りを進めていると考えられます。
また、醸造は一部屋のクヴェヴリセラーで行われており、過度な規模拡大を避けた体制も特徴的です。
設立当初からクヴェヴリ製法に特化している点も大きな特徴のひとつです。
ジョージア国内でもさまざまな醸造スタイルが存在する中で、Storiは伝統的な手法を軸に据えています。
長い歴史を持つ製法を現代に引き継ぎながら、自らのスタイルを模索している段階といえるでしょう。
自社畑とぶどう品種|テロワールを生かした栽培
Storiは現在、約14ヘクタールの畑を所有しています。
主にツィナンダリ地区を中心としたエリアに広がり、ジョージアの中でもぶどう栽培に適した土地として知られています。
加えて、周辺のローカルエリアにも畑を持ち、複数の区画で栽培を行っています。
栽培されている主なぶどう品種は、ジョージアを代表する土着品種が中心です。
赤ワイン用にはサペラヴィ、白ワイン用にはルカツテリやムツヴァネが使われています。
さらに、近年はキシといった品種の植樹も進めており、将来的な生産の幅を広げる取り組みが見られます。
これらの品種はいずれもジョージアの気候や土壌に適応してきた背景があり、それぞれに個性的な風味を持っています。
例えばサペラヴィは色調が濃く、果実味としっかりとした骨格を備える傾向があります。
一方でルカツテリやムツヴァネは、クヴェヴリ製法によって独特の質感や香りが引き出されることが知られています。
栽培方法については、有機栽培を基本としながらも、必要に応じて微量の農薬を使用する方針をとっています。
これは、自然環境への配慮と安定した品質の両立を意識したアプローチといえるでしょう。
こうした畑で育まれたぶどうが、Storiのワインの土台となっています。
クヴェヴリ製法のこだわりとワインの特徴
Storiのワイン造りにおいて中核となるのが、ジョージア伝統のクヴェヴリ製法です。
素焼きの壺を地中に埋め、その中で発酵と熟成を行うこの手法は、長い年月をかけて磨かれてきたものとされています。
地中発酵による安定した環境
クヴェヴリ製法の大きな特徴として挙げられるひとつが、地中での発酵です。
地中は外気の影響を受けにくく、温度変化が緩やかな環境が保たれます。
こうした条件により、発酵は比較的穏やかに進み、ぶどう由来の風味を生かしやすいと考えられています。
スキンコンタクトが生むオレンジワイン
発酵後は、クヴェヴリ内で数ヶ月の熟成が行われます。
白ブドウの場合、果皮や種とともに浸す「スキンコンタクト」によって、色調のあるワインに仕上がります。
これがオレンジワインと呼ばれるスタイルです。
ファースト・フラクションの採用
Storiでは、クヴェヴリの上部にたまる澄んだ液体、いわゆる「ファースト・フラクション」と呼ばれる部分を主に使用しています。
全体の中でも比較的クリアな状態のワインで、雑味を抑えた仕上がりにつながるとされています。
伝統と現代的バランスの両立
クヴェヴリから取り出したワインは、自社の地下カーヴでステンレスタンクへ移されます。
その後、瓶詰め前に濾過が行われます。
こうした工程により、伝統的な製法を守りながらも、現代の飲用シーンに合わせたバランスが整えられています。
Storiの味わい|ジョージアワイン入門としての魅力
クヴェヴリワインというと、個性的で力強い味わいをイメージする方も多いかもしれません。
実際に生産者によっては、タンニンや香りがしっかりと感じられるスタイルも見られます。
その中でStoriのワインは、比較的クリアで穏やかな印象を持ちやすいスタイルといわれています。
果実の風味を感じつつも、過度な重さを感じにくく、日常の食事にも合わせやすいバランスです。
オレンジワインにおいても、渋みが強すぎず、口当たりのやわらかさが感じられる仕上がりといえるでしょう。
また、伝統的な製法を採用しながらも、比較的手に取りやすい価格帯である点も注目されています。
ジョージアワインをこれから試してみたい方にとって、選択肢のひとつとして検討しやすい存在です。
ナチュラルワインやオレンジワインに興味があるものの、どこから始めるべきか迷っている方にとって、Storiは入り口として位置づけやすい生産者といえるかもしれません。
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このような方におすすめ|Storiを選ぶ理由
Storiのワインは、ジョージアの伝統製法をベースにしながらも、日常に取り入れやすいスタイルに仕上げられています。
ここでは、Storiのワインがどのような方に向いているのかを整理してご紹介します。
オレンジワインを初めて飲む方
クヴェヴリ製法による個性を感じつつも、過度な主張になりすぎないバランスが特徴といわれています。
オレンジワインに興味はあるものの、味わいの個性の強さに不安がある方にとって、最初の1本として検討しやすいスタイルです。
ナチュラルワインに興味がある方
添加物を抑えた造りや、伝統的な製法に基づくワインは、ナチュラルワインの考え方とも重なる部分があります。
自然な味わいを楽しみたい方にとって、方向性のひとつとして取り入れやすい存在です。
食事と合わせてワインを楽しみたい方
果実味と穏やかなタンニンのバランスにより、料理と合わせやすい傾向があります。
和食や軽めの肉料理など、日常の食卓にも取り入れやすいスタイルといえるでしょう。
ジョージアワインの入門として選びたい方
ジョージアワインに興味はあるものの、どこから選べばよいか迷っている方にも向いています。
伝統的なクヴェヴリ製法を体験しながら、比較的親しみやすい味わいを感じられる点が魅力です。
まとめ|伝統と現代をつなぐStoriの魅力
Storiは、ジョージアに古くから伝わるクヴェヴリ製法を大切にしながら、現代のワインシーンにもなじむスタイルを目指している生産者です。
自社畑のブドウを用い、栽培から醸造まで一貫して行うことで、土地の個性を反映したワイン造りに取り組んでいます。
クヴェヴリによる発酵と熟成、スキンコンタクトによるオレンジワインといった要素は、ジョージアワインの魅力を知るうえで欠かせないポイントです。
その一方で、Storiのワインは比較的クリアで親しみやすい味わいに仕上げられており、初めての方でも手に取りやすい印象があります。
ナチュラルワインやオレンジワインの選択肢が広がる中で、「伝統」と「日常的な飲みやすさ」の両方に目を向けたい方にとって、Storiはひとつの基準となり得る存在です。
ジョージアワインの世界に触れるきっかけとして、Storiのワインを選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。

