2026/02/13 09:38

ワインに興味を持ち始めると「ビオディナミ農法」という言葉を目にする機会が増えてくるでしょう。
ナチュラルワインを扱うショップや、生産者紹介の記事などでも、たびたび登場する用語です。


では、ビオディナミ農法とはどのような農法なのでしょうか。
有機農法とは何が違い、なぜナチュラルワインと深い関係があるといわれるのでしょうか。

本記事では、ビオディナミ農法の基本的な考え方から、有機農業との違い、ナチュラルワインとの関係までを順に解説します。


言葉の意味を知ることで、ワインラベルの見方が変わります。
ワイン選びの楽しみも、きっと広がるはずです。


ビオディナミ農法とは何か?基本の考え方を解説


ビオディナミ農法の起源と背景
ビオディナミ農法は、1920年代のドイツで提唱されました。
思想家ルドルフ・シュタイナーが行った農業講座が、その出発点とされています。

当時、化学肥料の普及により土壌の力が弱まっているという懸念がありました。
そうした問題意識から「農場をひとつの生命体として捉える」という考え方が示されました。

この思想をもとに発展したのが、ビオディナミ農法です。
現在ではフランスやイタリア、ドイツなどのワイン産地を中心に広がり、実践する生産者も増えています。

ビオディナミ農法の主な特徴
ビオディナミ農法の特徴は、大きく3つに整理できます。

1. 農場をひとつの循環体として考える
畑だけでなく、家畜や堆肥、周囲の自然環境まで含めて農場全体をひとつの有機的な存在と捉えます。
外部からの資材投入をできるだけ抑え、内部で循環させることを重視します。

2. 天体のリズムを農作業に取り入れる
ビオディナミ農法では、月や惑星の動きに基づく暦を参考にする場合があります。
種まきや収穫のタイミングを、天体の運行と関連づけて判断するという考え方です。

すべての生産者が同じ方法を取るわけではありませんが、こうした思想が根底にあります。

3. プレパラシオンの使用
ビオディナミ農法では、「プレパラシオン」と呼ばれる調合剤を使用します。
これは、特定の植物や鉱物、動物由来の素材を用いて作られるもので、土壌や堆肥に散布されます。

目的は、土壌環境の活性化や微生物の働きを促すこととされています。


ビオディナミ農法と有機農法の違い

「ビオディナミ農法とは何か」を調べると、有機農法との違いが気になる方も多いのではないでしょうか。
両者には共通点もありますが、考え方の軸に違いがあります。

共通するポイント
ビオディナミ農法と有機農法は、いずれも化学肥料や合成農薬に依存しない栽培を基本とします。
一般的に「オーガニック農法」や「有機農業」と呼ばれる分野に含まれることもあります。
土壌の健全性を重視し、生態系への負荷を抑えるという姿勢も共通しています。

そのため、ビオディナミ農法は「有機農法の一種」と紹介されることもありますが、位置づけは国や基準によって異なる場合があります。

考え方の違い
大きな違いは、農業をどのように捉えるかという視点にあります。

有機農法は、主に農薬や肥料の使用基準といった実践面のルールに基づく農法です。
一方、ビオディナミ農法は、自然循環や天体のリズムまで含めた思想的な背景を持ちます。

月の満ち欠けを参考に農作業を行う点や、プレパラシオンの使用は、ビオディナミ農法ならではの特徴です。

認証制度について
ビオディナミ農法には「デメター認証」といった国際的な基準があります。
これはビオディナミの原則に沿って栽培・醸造が行われているかを確認する制度です。

ただし、認証を取得していなくても、同様の思想で栽培を行う生産者も存在します。
ラベルに記載がない場合もあるため、表記だけで一律に判断することは難しい点もあります。

どちらが優れているかという単純な比較ではなく、農法のアプローチが異なると理解すると分かりやすいでしょう。

ビオディナミ農法とナチュラルワインの関係

では、なぜビオディナミ農法はナチュラルワインと深い関係があるのでしょうか。

ナチュラルワインには明確な法的定義がありませんが、一般的には、ぶどう栽培から醸造まで自然な手法を重視するワインを指すことが多いです。
その出発点となるのが、ぶどうの栽培方法です。

ぶどう栽培がワインの個性を左右する
ワインは農産物であるぶどうから造られます。
そのため、栽培環境や土壌の状態は、味わいに影響を与える要素のひとつと考えられています。
ワインの世界で「テロワール」と呼ばれる概念とも関係する部分です。

ビオディナミ農法では、土壌の生命力や生態系のバランスを重視します。
この考え方は、ナチュラルワインの理念と重なる部分があるといわれています。

結果として、ビオディナミ農法を実践する生産者がナチュラルワインの分野で紹介される機会が増えています。

醸造とのつながり
ビオディナミ農法は本来、栽培に関する考え方です。
しかし、同じ思想を持つ生産者は、醸造においても介入を抑える傾向があります。

野生酵母での発酵や、亜硫酸の使用を控えめにする取り組みなどが、その一例です。
もちろん、具体的な方法は生産者ごとに異なります。

重要なのは、畑からワインまでを一貫した思想で捉える姿勢にあります。

ビオディナミ農法のワインを選ぶ際のポイント

ビオディナミ農法のワインに興味を持ったら、どのように選べばよいのでしょうか。

ラベルや認証マークを確認する
「Demeter(デメター)」の認証マークが付いている場合は、基準に沿って生産されたワインであることが分かります。
一方で、認証を取得せずに実践しているケースもあるため、生産者情報を参考にするのもひとつの方法です。

味わいは一様ではない
ビオディナミ農法だからといって、味わいが必ず特定の方向にまとまるわけではありません。
産地や品種、醸造方法によって個性は大きく異なります。

先入観を持ちすぎず、まずは1本試してみる姿勢も大切です。

信頼できる情報源から選ぶ
生産背景や農法について具体的な説明が記載されているオンラインショップを参考にすると、理解を深めやすくなります。
ビオディナミ農法を実践する生産者のワインを取り扱う専門店であれば、比較検討もしやすいでしょう。

まとめ:ビオディナミ農法を知ることでワイン選びは広がる

ビオディナミ農法とは、自然の循環や天体のリズムを尊重する農法です。
有機農法と共通点を持ちながらも、独自の思想を背景に発展してきました。

ナチュラルワインとの関係も深く、ぶどう栽培の段階から自然との調和を目指す姿勢が重なります。

農法を知ることで、ラベルの見方が変わります。
生産者の考えに目を向けるきっかけにもなります。

ワインは味わいだけでなく、その背景も楽しめる飲み物です。
ビオディナミ農法という視点を取り入れながら、自分に合った1本を探してみてはいかがでしょうか。

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